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ごくごく一部の方のご支持にお応えして再開です。アジアもの中心ですが、名前どおりごった煮だす。
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p1005004945.jpg不能説的秘密 (Secret/言えない秘密)」 [台湾]

監督:周杰倫(ジェイ・チョウ) 
主演:周杰倫、桂綸[金美] (グイ・ルンメイ)、黄秋生 (アンソニー・ウォン)

話題のジェイ初監督作品。普段はかなり辛口のアメリカ人アジア映画オタクが良かったと言ってたので期待してました。確かに悪くない。映画を学んだわけでもない人間が初めて撮った作品にしては上出来。構図とかカメラの動きとか、すごく"映画的であること"を理解している人なんだなぁと思う。「黒い家」の監督に見習ってほしいわ。

舞台は音楽科のある高校。一応台湾ってことになってるけど、建物とか制服とか全然台湾っぽくなくて、ヨーロッパ風である。個人的には台湾のミュージックビデオ界が得意としてる"台湾の日常風景を抒情的に映像化する"っていう方針でやってほしかったけど、これも周監督の美意識の現われなんでしょう。でもどうせなら"かつてヨーロッパの国の植民地だったアジアのどこかの国"とかって設定にちゃえば、ファンタジックな内容にも合ってたと思うんだけど。

ストーリーはこれまた台湾映画の得意技、初恋ものです。ただジェイが意外とアグレッシブにルンメイちゃんにちょっかいを出すので、初恋ものに必須の胸がキュンとなるようなシーンはあんまりナシ。もうちょっとジェイのキャラクターは晩熟でシャイでピアノでないと愛情表現できませーん、みたいな少年の方が後半の展開に切迫感が出たんじゃないかなぁ。彼女の方も謎めいてるだけでイマイチどういう性格なのかが描ききれてない感じで、人物造型にはちょっと課題ありかも。しかしジェイの演技は良いです。「頭文字D」でもそう言われてたけど、今回もものすごく自然。ただ、さすがに高校生にしては老けすぎでは?と思うし、なんか髪型のせいかカッコよくないんだけど。ジェイを知らない人が見たら「なんでこの子が主役?」と思われそうだ。

しかし、ふんだんに出てくるピアノを弾くシーンを見れば、知らない人が見ても納得かも。ホントに余裕綽々で弾いてるから、この人のピアノは筋金入りだなーと思う。なかでも南拳媽媽の宇豪との"闘琴"(ピアノ対決)は、ピアノもすごいし緊迫感もあるしでかなり印象的だ。この映画の勝因の一つは、ジェイが音楽科の学校とピアノっていう自分が知り尽くしているものを土俵にしていて、それでないと成り立たない物語を作ったっていうことだろう。後半の展開もなかなか見事だし、ファンじゃなくても見て損じゃないと思う。
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p1004975017.jpeg男兒本色」 (香港)
監督:陳木勝(ベニー・チャン)
出演:謝霆鋒(ニコラス・ツェー)、余文樂(ショーン・ユー)、房祖明(ジェイシー・チェン)

ついにキター!久々のバリバリ香港アクション。最近のアクションものってアクションはすごくてもストーリーがイマイチなのが多かった(龍虎門とか…)けど、これはいかにも香港映画なノリながらなかなか楽しめます。エンタテイメントとしては十分。

さらに、ちょっと前までどうみても"若手"でしかなかったニコラスと文樂くんがぐっと大人になっていて、オネエさまとしては感慨深い。今までは主役といえば青春もの、大人の映画じゃもっと格上の主演がいてその次の準主役とかだったけど、本当に一人前の主演俳優になっているのがうれしい。アンディおじさんとか梁朝偉とかの世代が長らく香港映画界を支えてきたけど、ようやく後継者が出てきたね!

ストーリーはそれぞれに違う背景の警察官3人がそれぞれの理由で同一犯人グループを追うっていう話。最初はそれぞれに反発したり無視したりしてるんだけど、同じ敵を前にやがて友情が芽生え・・・みたいな王道の展開。でもさすが陳木勝、驚きの展開はないけど適度に笑いも盛り込みつつ(乱闘で打ち身だらけになった3人が薬を塗りあうシーンは爆笑!)、一気に爆裂アクションになだれ込む手腕は手馴れたもので、安心して見ていられる。さらに、敵の一人にちょっといい奴(安志杰)を配したのもなかなかポイント高い。彼と房祖明の最後のシーンは、80年代の香港ノワールみたいでグッと来た。

主演3人もかなりいい。ニコラスのアクションはさすがドニー・イェン仕込みって感じでキックが美しい。次世代の香港アクションスターは間違いなくニコラスだね。呉京(ウー・ジン)もアクションはいいけど、スター性が全然違う。坊主頭の文樂は、誰かに似てる・・・ってずっと思いながら見てて最後に気づいたのが渡辺謙!鋭い眼光が似てる。謙さんみたいに渋ーく成長してほしいものだ。この2人に比べると弱くて(でもアクションはきっちりやってるんだけど)ちょい情けない役の祖明は、でも演技は一番うまいかも。最初に警察でお兄さんの行方について上官に問うシーンがとても良かった。

・・・っていいとこばっかり書いてるけど、そうは言っても突っ込みどころは満載なのだ。房祖明は一介のお巡りさんなのに突然捜査に参加?とか、香港警察ってそんなに簡単に爆発物持ち込めちゃうの?(邦題が「香港警察大爆破」になりそうなぐらい爆発しまくり)とか、警察が犯人簡単に殺しちゃって逮捕して全容解明しようって気が全然なさそうなとことか、そりゃもう言い出したらキリがない。しかし、この映画はそういうこと気にしてちゃダメ。それが香港アクションなのだから!


壁を抜ける少年」 (台湾)
監督:鴻鴻(ホンホン)
主演:張永政(チャン・ヨンジェン…TIFFではヨンツンになってるけど、なぜ"政"がツン?)、李佳穎(リー・チャーイン)、戴立忍 (レオン・ダイ)

台湾製近未来SF…と聞いてそれは新しい!と思ったんだけど、ちょっと違う意味で新しい映画だった。TIFFの紹介だと、「近未来SFの話題作。大災害ののち人類が滅亡の危機に瀕するなか、ふとしたきっかけで壁を抜ける超能力を身につけた少年は…。地球の未来やいかに。」って、いかにもこの少年が超能力で地球を救いそうな勢いなんだけど、どーしてどーして、実は単なる少年の初恋ものがたりなのだ。ホントにこの映画を見た人がこのディスクリプションを書いたのなら、かなりのテクニシャンかつ確信犯と言えるだろう。

さて、この映画のテイストはなかなか面白い。主人公の心境に合わせて背景の色が変わっちゃうなんてケレンミもありつつ、そんなに予算かかってなさそうなのに近未来の廃墟がうまく表現されてたり、そして人生そうそううまくいかないのよ、って感じの結末も私は嫌いじゃない。近未来SFと聞いてダサダサのちゃっちい映画になってたらどうしようって心配したけど、それなりにキッチュでありながらもダサダサにはならずにちょっとアートっぽくまとまってるのは、演劇や詩作がメインの活動だっていう監督のバックグラウンドにもよるものだろう。ただ私が気になったのは音楽。全体的に管弦楽とピアノのクラシカルな音楽を使っていて、妙にシリアスなのがこの映画をイマイチ突き抜けられないものにしちゃってた気がする。エンディングロールでかかる曲みたいに、ちょっと弾けたインディーズっぽい音楽だったらだいぶ映画の雰囲気も変わったのでは。

でも私は、ティーチインでの最後の監督の言葉になぜか感銘を受けました。20年して再会を果たせたとしても、2人はすでに違う時空を生きてきて、その時間はもうやり直しができない。そして、再会したその瞬間もまたそれまでとは違う時空なわけで、そこからが新しい始まりなのだと。やっぱりそこに哲学があれば映画は安っぽくはならないものなのね。
p1004898105.jpg[糸邦]架 (Kidnap)」 [香港]

監督:羅志良(ロー・チーリョン)
出演:林嘉欣(カリーナ・ラム)、劉若英(レネ・リウ)、張兆輝(チョン・シウファイ)、張智霖(チョン・チーラム)

帰りの飛行機の中で。ホントは行きの飛行機で「ファンタスティック4」を半分近く見てたんで、残りを見ようと思ったのにやってなかった。で、割と仕方なく?この映画を見ることに。

とりあえず映画は二大演技派女優のガチンコ対決っていう様相。基本的に林嘉欣も劉若英も割と好きな女優なんだけど、なんかこの2人似てない?なんとなく顔のつくりとか割かしどこにでもいそうな感じとか、優等生っぽいとことか。どっちか違うタイプの女優がやってた方がコントラストついて良かったような気がするけど、今の香港・台湾にこのヘンの中堅で主役はれる女優ってあんまりいないもんなぁ。TWINSじゃちょっと若すぎるし。

脇でなかなか素敵なのが張兆輝。この人の刑事役ってもう本人もよく飽きないなってぐらい良く見るけど、今回は劉若英をボスと仰ぐ叩き上げ。短髪も渋いが、我が子の危機に刑事としての道を踏み外しそうになる劉若英を支える姿がカッコいい。ただうろたえて大声あげるチーラムとは大違い。とはいえチーラムも土壇場ではなかなかいいこと言ってたりするのだが。

映画中盤までは、警察を振り回す林嘉欣の策略と行動が小気味よく、対する劉若英も毅然とした女警部ぶりで話はテンポ良く進むのだが、実は誘拐されたのが劉若英の息子だとわかってから段々話は重苦しいものになっていく。被害者も加害者も追い詰められ、もう後戻りできない袋小路へと自らはまり込んで…って最後どうなることかと思ったけど救いがあって良かった。ただ、林嘉欣が迎える結末はちょっと安直な気がしたけれど。



p1005037531.jpg色.戒 (ラスト、コーション)」 [中・米]
監督: 李安(アン・リー)
出演:梁朝偉(トニー・レオン)、湯唯(タン・ウェイ)、王力宏(ワン・リーホン)

今回の出張中、タイミング良いことにちょうどこの映画が香港で公開に。世界に先駆けてのロードショーだそうで、海賊版を警戒して映画館のチェックの厳しいこと。入り口でカメラチェックがあり、携帯電話もそこで電源を切らされる。上映中も係員がウロウロ。映画の最中に携帯が鳴らないのは良いことだけど、さすがに気が散りますわ。この作品、李安が久しぶりに中国語圏で撮った映画だけど、それよりも何よりも、ほぼ満員だった観客の多くは超過激といわれるベッドシーンが目当てだったのでは?なんかヘンなところで大笑いするグループがいたりして、ベネチア映画祭金獅子賞受賞作を観に来たっていう感じじゃなかったなぁ。

とりあえず、2時間半ぐらいあるのかな?相当長い映画だけど、全然退屈はしない。話自体がスリリングだし1940年代の上海と香港の風景やファッション、インテリアなんかも魅力的だ。そんでもって、話題のベッドシーンは確かに相当すごい。ベネチアが騒然となったっていうのもわかる。湯唯も根性座ってると思うけど、梁朝偉すごいよなぁ。何もここまでしなくても、とっくに大スターなのに。ただ、描写が余りにあからさまで写実的なので逆にあんまりエロティックな感じはしなかった。ベネチアで意見が分かれたって言うように、確かにこの映画にこれが必要か?という気もするし。たとえば「グリーン・デスティニー」みたいにストイックな雰囲気の方が逆にドキドキしたかもなー。風貌はどこからどう見ても、気のいい台湾のオジサンにしか見えない李安、年取るごとに過激になってきてるんでしょうか。

そういうわけで、やっぱりベッドシーンばかりが取り沙汰されて、実際見てもそればかりが印象に残って、「はて、それで梁朝偉と湯唯は結局?」と思い勝ちなところが残念な映画である。ラスト直前まで2人ともにのっぴきならない雰囲気が感じられないのが物足りない。結末も意外にあっけなく、最後に万感をにじませた王力宏の表情が一番印象に残ったかも。

p1005035935.jpg







「色.戒 (ラスト、コーション)」 オリジナルサウンドトラック 
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東アジア居住歴約10年。仕事ができるぐらい話せる言語は4つ。もともと洋楽・洋画・英語派でアメリカに留学しようとしてたはずなんだけど、なぜかこんなことに!?
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